書のチカラ
毛筆の威力
筆で文字を書くのは苦手で…と思ってませんか。
ペンなどの筆記用具より、毛筆で文字を書くことは難しいです。
それは、書き慣れていないからです。
絵を描くときは筆で色を塗ったり、線を書くことと
色鉛筆で色を塗ったり、線を書くことを比べることはありません。
それぞれ違う絵になるからです。
文字は上手く書かなければという思いが強く、
また教育としてお習字を経験しているので
上手く書けない=苦手という意識になっています。
書き慣れると、筆はあなたの味方になります。
ぶらりとつり下げた紙にペンで文字を書くことは困難です。
でも筆でなら、なんとか文字を書くことはできます。
それはペンが手で書くという行為をストレートな力で紙に伝えるので
紙が宙ぶらりんでは受け止めることができません。
毛筆は手で書く行為を一本一本の毛は曖昧に、しかし全体としては
中心の芯を捉えてしっかりと伝える力が働くので、宙ぶらりんの紙にも
書くことができるのです。
このやわらかく腰があるという書き味が筆独特の力なのです。
現実に使っていることばを具体的な内容で、ストレートな筆記用具で書くのではなく
この独特な筆で書くこと、曖昧でありしっかりとした抽象的な力で書くことが
ことばに「書のチカラ」を与えるのです。
CDよりレコードが伝えるもの
オートマチック車よりマニュアル車が伝えるもの
機械で握られるより職人さんが握るお鮨が伝えるもの
曖昧でありしっかりしている力、抽象的な力だからこそ
そこに不思議なチカラが加わります。
動物の毛から作られる筆は
その毛の種類により腰が強くしっかりした力を伝えやすいもの
やわらかく曖昧に力を伝えやすいものなどいろいろあります。
筆の太さ、長さの種類を加えると無数の筆があります。
自分のお気に入りの筆をみつけてみませんか。
あなたのことばに書のチカラが加わります。