日本語の美しさ
はるはたちけり
天の門の あくるけしきもしずかにて
雲居よりこそ はるはたちけり
黄金に輝く立春の陽の光が
みなさまにも降りそそぎますように…
「書く」ことで育まれるもの
日本語は「書く」ことで成り立っています。
実際に手を使って「書く」ことのない一日があっても
頭の中で「書く」ことのない日はないからです。
同音異義語が多い日本語は、文脈の流れの中で無意識に
頭の中でことばを文字で書いています。
「かぜがふいています。」
「がぜをひいています。」
耳で「かぜ」ときいたことばを
頭の中では「風」「風邪」と文字を書いて理解しています。
名刺も日本では、役職や連絡先を確認する以上に
お名前をどんな文字で書くのか確認する役割が大きくなります。
日本語は文字を話しながら、文字を書いています。
漢字という表意文字とひらがな・カタカナという表音文字を組み合わせて
会話をしながら、頭の中で文字を書いています。
それだけ日本語は複雑で繊細な表現ができるのです。
日本語を「書く」ことで、日本の繊細な美意識が育まれてきたのです。
漢字とひらがなとカタカナが生み出すもの
日本語は三種類の文字から成り立ち、
日本人は3つの文字を使い分け組み合わせて表現ができます。
・中国から伝わった漢字。
・倭語(日本固有の単語)に漢字をあてて表現していたものをくずして生まれたひらがな。
・漢文を日本語として読むための補助的な文字として生まれたカタカナ。
世界中、ほとんどの言語は一種類の文字から成り立っています。
それだけ日本語は多様な表現、繊細な表現が生まれます。
そして日本人は多様な文化を生み出し、繊細な精神を育みました。
「桜」「さくら」「サクラ」…思い浮かぶ景色が違います。
わたしは満開だったり、花吹雪だったり、花びらだったり。
どの景色にもハラハラと散り落ちる「sa・ku・ra」が見えます。
それは文字を知る以前に、母が「桜が満開ね。」と見上げた桜から
ハラハラと散っていく数枚の花びらをみていたから。
「わぁ♪きれいなさくらね。これが最後かなぁ。」と手をつないで歩いた
桜吹雪の中でも、舞踊る花びらをみていたから。
手のひらに「サ ク ラ よ」と花びらを置いてくれたから。
親が見ていたものを子は見て、親が発することばを子は聞いて覚えます。
母国語は親から伝えられることばです。
それを日本人は無意識のうちに三種類の文字で表現しているから、
多様な表現と繊細な精神が身につく。